転職が怖くて動けない人へ|「残ること」のリスクも同時に考えてみる
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転職を考えては、「今より悪くなったらどうしよう」と手が止まる。求人サイトを開いては閉じる、を何度も繰り返している。
このとき頭の中にあるのは、たいてい「転職するリスク」だけです。しかし、実際にはもう一つ、見落とされがちなリスクがあります。「今のまま、何も変えないこと」のリスクです。この記事では、3年後の自分を「残った場合」「動いた場合」の2パターンで具体的に書き出し、2つのリスクを同じ土俵で比べる方法を紹介します。
転職が怖いのは、リスクを感じ取れているから
転職が怖いと感じるのは、判断力が鈍っているからではありません。むしろ、新しい環境に飛び込むことのリスクを、きちんと感じ取れている証拠です。収入が下がるかもしれない、人間関係を一から築き直さなければならない、次の会社も合わなかったらどうしよう——これらは、真剣に考えているからこそ浮かぶ不安です。
問題は、この「動くリスク」ばかりを検討し、「動かないリスク」をほとんど検討しないまま、比較にならない天秤で判断してしまうことです。
でも「残る」ことにもリスクがある
今の会社に残るという選択は、一見リスクがないように見えます。しかし、実際には次のようなリスクが静かに積み重なっていきます。
- 給与や待遇が、この先も大きく変わらない可能性がある
- 今の業務のまま数年が経ち、身につくスキルの幅が変わらない
- 今感じている悩みが、解決されないまま続く可能性がある
- 動くタイミングを逃し続けることで、年齢や経験年数の面で選べる選択肢が狭まっていく
「何もしない」ことは、リスクを避けているのではなく、今の状態が続くリスクを選び続けていることでもあります。
2つのリスクを同じ土俵で比べてみる
頭の中だけで比較すると、どうしても「動くリスク」の方が生々しく感じられ、天秤が偏ります。書き出して、同じ形式で並べてみてください。
【残った場合の3年後】
- 収入はどうなっていそうか:______
- 身についていそうなスキルや経験:______
- 今と同じ悩みは続いていそうか:______
【転職した場合の3年後】
- 収入はどうなっていそうか:______
- 身についていそうなスキルや経験:______
- 今の悩みは解決していそうか:______
【比較して気づいたこと】 ______
書き終えた2つの欄を見比べたとき、「残った場合」の欄に具体的な変化がほとんど書けなかった場合、それ自体が一つのサインです。逆に、「残った場合」の欄にも具体的な変化や希望が書けたなら、それは焦って動く必要がないというサインでもあります。このワークの目的は、転職を後押しすることではなく、どちらの欄がより具体的に埋まるかを、公平に見比べることにあります。
多くの人が無意識にやってしまうのが、「動くリスク」だけ最悪のケースを想像し、「残るリスク」は現状維持という一番穏やかなケースで見積もってしまうことです。同じ基準で見積もるなら、「残った場合」も、今の悩みが3年間続いた場合にどう感じているかまで、具体的に想像してみてください。
「動かないリスク」が高くなりやすい人の特徴
- 同じ悩みを抱えたまま、すでに1年以上が経っている
- 会社の給与テーブルや評価制度が、当面変わる見込みがない
- 任される仕事の範囲が、この数年ほとんど変わっていない
給与面での見通しが立てにくい場合は20代で給料が低い。このまま働き続けて大丈夫?|転職する前に見ておきたいこと、成長実感が持てない場合は20代で「この仕事を続けても成長できない気がする」と思ったら|転職する前に確認したいことで、それぞれ具体的な確認方法を紹介しています。
たとえば、企画職のGさん(20代後半)の場合。「転職はリスクが高い」と考え、3年間ずっと動かずにいました。しかし実際にワークシートを書いてみると、「残った場合」の欄には、収入もスキルも「大きくは変わらなそう」という言葉しか書けませんでした。一方、「転職した場合」の欄には、興味のある分野への異動可能性や、身につけたいと思っていたスキルを具体的に書き出すことができました。Gさんが気づいたのは、「動くことが怖い」のではなく、「残った場合の具体的な変化を、自分がまったく想像できていなかった」ということでした。この気づきをきっかけに、まずは情報収集だけ始めることにしたといいます。
「動くリスク」を下げるためにできること
動くと決めていなくても、情報を集めることはリスクではありません。
- 応募する前に、まず情報収集だけ始めてみる。転職したいけど怖くて動けない人へ|情報収集から始めていい理由を参考にしてください
- 「次も合わなかったら」という不安が強い場合は、次の会社も合わなかったらと考えると怖い人へ
- 転職を繰り返すこと自体への不安がある場合は、転職を繰り返す人にはパターンがある?特徴と抜け出し方
- 転職した後にまた辞めたくなったらと考えると動けない場合は、転職してすぐ「また辞めたい」と思ったら|ミスマッチのサインか、慣れる前の反応かの見分け方
転職しない、という結論でもいい
このワークは、転職を後押しするためのものではありません。書き出した結果、「今は残った方がいい」という結論になることも十分にあります。どちらかを避けて考えるのではなく、両方のリスクを見た上で選べているかどうかが、この先の納得感を左右します。
「このままでいいのかな」という感覚だけがある段階でも、「このままでいいのかな」と仕事に不安を感じたときの考え方が参考になります。次の職場が決まっていない状態で辞めることへの不安がある場合は、次が決まっていないのに仕事を辞めたい人へも確認してみてください。転職するべきかどうか、判断軸自体に迷いがある場合は、20代の転職、するべきか迷ったら|後悔しないための5つのポイントも参考になります。
今日からできること
今日、上のワークシートを実際に埋めてみてください。10分もあれば書けます。書いてみて初めて、「残るリスク」と「動くリスク」のどちらが自分にとって重いのか、輪郭がはっきりします。
よくある質問
「残った場合」の欄が何も書けませんでした。
無理に埋めようとしなくて構いません。書けなかったこと自体が、「このまま何も変わらない可能性が高い」という一つの答えです。
比較した結果、やっぱり動くのが怖いです。
それで問題ありません。怖さがなくなることを目指す必要はなく、両方のリスクを踏まえた上で「今は残る」「情報収集だけ進める」という判断も、立派な選択です。
「残った場合」の欄が意外と悪くない結果になりました。転職しなくてもいいですか。
その場合は、無理に動く必要はありません。このワークは転職を決めるためのものではなく、どちらのリスクが自分にとって重いかを確認するためのものです。今は残るという結論も、十分に意味のある判断です。
この記事の要点
- 転職が怖いと感じるのは、動くリスクを正しく感じ取れている証拠であり、弱さではない
- 一方で「残ること」にも、収入・スキル・悩みの継続というリスクがある
- 3年後の自分を「残った場合」「動いた場合」で書き出すと、2つのリスクを同じ土俵で比較できる
- 「残った場合」の欄が具体的に書けないこと自体が、一つの判断材料になる
- 書き出した2パターンをそのままLINEで送ってもらえれば、どちらのリスクが重いか一緒に整理できます