AIに仕事を奪われそうで転職を考えている人へ|今、仕事を変えるべき?
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AIに仕事を奪われる。
そんな言葉を見るたびに、今の仕事を続けていいのか不安になる。だから転職を考え始めた。
そういう人に、先に伝えておきたいことがあります。「AIが不安だから転職する」だけでは、次の職場でも同じ不安を抱えることになりかねません。大切なのは、AIによって「なくなる」のは仕事そのものなのか、それとも仕事の中の一部の作業なのかを分けて考えることです。
「仕事がなくなる」と「タスクが変わる」は別の話
国際労働機関(ILO)が生成AIと雇用の関係を分析した調査では、事務職において高い自動化の可能性があるタスクは全体の約4分の1、中程度の可能性があるタスクは半数以上を占めるとされています。一方、管理職・専門職・技術者などのカテゴリでは、高い自動化の可能性があるタスクはごくわずかで、中程度のものが約4分の1という結果でした。
出典:ILO Working Paper「Generative AI and Jobs: A global analysis of potential effects on job quantity and quality」(2023年)
この調査が示しているのは、「職業がまるごと消える」ケースより、「一つの職業の中の一部の作業が変化する」ケースの方が多いということです。営業職がなくなるのではなく、営業の中の日報作成やデータ集計がAIに置き換わる。事務職がなくなるのではなく、定型的な入力作業がAIに置き換わる。そういう変化が中心になります。
「AIに仕事を奪われる」という表現だけを見て転職先を決めると、移った先でまた同じ言葉に不安になる可能性があります。
「AIを勉強すれば安心」でもない
AIへの不安から、「AIに強そうな仕事へ」「AIスキルを身につければ安心」という結論に飛びつきたくなることがあります。
しかし、これも単純化しすぎです。同じILOの調査では、自動化の影響を受ける度合いは、所得水準の高い国で雇用全体の5.5%、低い国で0.4%と、産業構造によっても大きく差があるとされています。「この職種なら安全」「このスキルがあれば安心」という一律の答えはありません。
大事なのは、職種やスキルの名前ではなく、自分が今やっている仕事の中身を分解して考えることです。
今の仕事を4つに仕分けてみる
今担当している業務を、次の4つに分けてみてください。
- A:AIに任せられそうな部分(定型的な入力、決まったフォーマットの文書作成、単純な集計)
- B:AIを使えば速くなりそうな部分(下調べ、資料の下書き、情報整理)
- C:人との調整・判断が必要な部分(相手の意向を汲んだ交渉、状況に応じた優先順位づけ)
- D:経験や現場理解が必要な部分(過去の類似ケースを踏まえた判断、想定外のトラブル対応)
たとえば、営業事務の仕事をしている人であれば、見積書のフォーマット入力はA、提案資料の下書きはB、顧客の要望をヒアリングして条件を調整する部分はC、といった具合に分かれます。
この仕分けをしてみると、「自分の仕事が丸ごとなくなるかどうか」より、「CとDの部分をどれだけ担っているか」の方が、今後を考えるうえで重要だとわかります。
事務職の場合も考えてみましょう。定型的なデータ入力や請求書のチェックはA、社内向け資料の下書きはB、他部署からの急な依頼への対応や、イレギュラーな処理の判断はC・Dにあたります。同じ「事務職」という肩書きでも、A・Bの比重が大きい職場と、C・Dの比重が大きい職場では、AIによる変化の受け方がまったく違います。転職先を職種名だけで比べても、この違いは見えてきません。
AIに詳しくなること自体は、無駄ではない
ここまで「AIを勉強すれば安心、ではない」と述べてきましたが、AIツールの使い方を身につけること自体は無駄ではありません。むしろ、AとBの部分をAIに任せられるようになれば、その分の時間をC・Dに回すことができます。
問題は、AIスキルを身につけることを「不安を解消するための唯一の手段」にしてしまうことです。AIの使い方を覚えることと、C・Dにあたる経験や判断力を積み上げることは、両方が必要であり、どちらか一方だけでは長期的な安心にはつながりません。
「奪われない仕事を探す」から「経験をどこで使うか」へ
AIへの不安から転職を考えるとき、多くの人は「AIに奪われない仕事」を探そうとします。しかし、前の章で見たように、AIの影響を受けない職種を確実に見分けることは難しくなっています。
視点を変えて、「今持っている経験の中で、CとDにあたる部分をどこで活かせるか」を考えてみてください。
たとえば、これまで培ってきた対人調整の力や、現場での判断経験は、業界や職種が変わっても持ち運べる強みです。転職先を選ぶときも、「AIの影響を受けなさそうな業界か」より、「自分のCとDの経験を評価し、活かせる環境か」で選ぶ方が、後悔が少なくなります。
それでも転職を考えるなら、確認したいこと
今の仕事の中でCとDの部分を増やせそうにない、あるいは会社自体が変化に消極的だという場合は、転職も選択肢になります。
その場合も、「AI時代に安全な職種」だけで探すのではなく、次のような環境かどうかを確認することをおすすめします。
- 新しいツールや業務のやり方を試すことに前向きな文化か
- 変化への対応や効率化が、正当に評価される仕組みがあるか
- 経験や現場判断が求められる業務に、どれだけ関われるか
求人票や面接でこれらを見極めるのは、一人では判断しづらい部分でもあります。「AIに強い業界かどうか」ではなく、「自分のCとDの経験を、次の職場でどう説明すれば伝わるか」まで含めて準備しておくと、応募先を選ぶ段階でも、面接で聞かれたときにも困りにくくなります。
今の会社に残るという選択肢も含めて考えたい場合は、AI時代に今の仕事を続けて大丈夫?|転職より先に考えたい3つのことで、環境の見極め方を詳しく解説しています。転職しても同じ不安を繰り返したくない場合は、AIに仕事を奪われる人・奪われにくい人の違いとは?や将来なくならない仕事とは?職種よりも大切な考え方もあわせて参考にしてください。
「未経験からITへ」という選択肢を考えている場合は、AIで仕事がなくなるのが不安。未経験からITに転職すれば安心なのか?でも触れていますが、IT業界もAIの影響と無縁ではないため、業界を変えること自体を目的にしないことが大切です。同じ理由から「未経験でITに転職したいけど、ついていけるか不安」という人は、未経験でITに転職したいけど、ついていけるか不安|入社前に知っておきたいことも参考にしてください。
転職するとしても、後悔しないために
不安を理由に急いで転職先を決めると、転職して後悔しないか不安な人へ|後悔しやすい3つのパターンと防ぎ方で解説しているような後悔につながりやすくなります。今の仕事のA〜Dの仕分けをした上で、転職のタイミングを考えたい場合は、転職を考えるタイミングっていつ?決めきれない人のための整理法も参考にしてください。
一人で判断がつかない場合
今の仕事を続けるべきか、環境を変えるべきか、自分の仕事のA〜Dの仕分け結果を見ながら一緒に整理することもできます。
AIへの不安から転職を考えているけれど、何を基準に判断すればいいかわからない場合は、今の状況を聞かせてください。今の経験が次のどんな仕事で活かせそうか、具体的な選択肢を一緒に見ていくこともできます。
実際に選考を受ける段階になったら、AI面接に当たるケースも増えています。AI面接が増えている。何を見られていて、どう対策すればいいかも、あわせて参考にしてください。
よくある質問
AIに仕事を奪われそうな職種は、具体的にどこですか。
定型的・反復的な業務の比重が高い職種ほど影響を受けやすいとされていますが、同じ職種の中でも業務内容によって差があります。職種名だけでなく、自分が担当している業務の中身で考えることが重要です。
今の会社に残るのと、転職するのとどちらがいいですか。
一律の正解はありません。今の仕事の中で経験や判断が求められる部分を増やせる環境かどうか、まずは今の会社で確認してみることをおすすめします。それが難しい場合に、転職を選択肢として検討する流れが後悔を減らしやすくなります。