仕事に行く前に涙が出る、泣きたくなる|1週間の記録で引き金を見つける方法
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支度をしながら、玄関で靴を履きながら、理由もはっきりしないまま涙がこぼれる。誰かに何かを言われたわけでもないのに、朝だけ急に涙が出てくる。
これは大げさな反応でも、弱さの表れでもありません。厚生労働省がストレスチェック制度で用いる公式の調査票にも、「悲しいと感じる」という項目が含まれています。涙が出るほど悲しく感じることは、想定される反応の一つとして扱われています。この記事では、涙が出る場面を1週間記録し、何が引き金になっているかを見つける方法を紹介します。
涙が出るほどつらいのは、大げさなことではない
厚生労働省が定める「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」は、全国の職場でストレスチェックに使われている公式のツールです。その中の「最近1か月間のあなたの状態」を尋ねる項目には、「ゆううつだ」「気分が晴れない」と並んで「悲しいと感じる」という項目があります。
つまり、涙が出るほど悲しいと感じることは、制度として想定されているストレス反応の一つです。「こんなことで泣くなんて」と自分を責める必要はありません。
出典:厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」
でも、出社すれば普通に働けてしまう、というギャップ
この悩みの分かりにくさは、「行く前はつらいのに、着いてしまえば普通に仕事ができる」というギャップにあります。周囲からは「元気そうに見える」ため、つらさが伝わりにくく、自分自身も「さっきまで泣きそうだったのに、今は平気に見える自分」を不思議に感じることがあります。
この状態は、仕事そのものへの拒否感というより、「その日を迎えるまでの予期」に強く反応している可能性があります。実際に何が起きるかより、これから起きることを想像する段階で消耗しているケースです。
理由がはっきりしないまま涙が出ると、「なぜ泣いているのか自分でも分からない」という状態そのものが、さらに不安を強めることがあります。しかし、理由が言葉にできないことと、理由が存在しないことは別物です。多くの場合、理由は存在しているのに、まだ言葉になっていないだけです。次の記録は、その理由を少しずつ言葉にしていく作業です。
涙が出る場面を1週間記録する
毎日でなく、涙が出た日・出そうになった日だけで構いません。
【日付】 ______
【涙が出た場面】(家を出る前/通勤中/会社の前 など) ______
【直前に頭に浮かんでいたこと】 ______
【出社後、実際にどうだったか】 ______
1週間分たまったら、「直前に頭に浮かんでいたこと」の欄を見比べてみてください。同じ人の名前、同じ業務、同じ時間帯が繰り返し出てくる場合、それが引き金である可能性が高くなります。
記録から見えてくる3つのパターン
1.特定の人や場面に反応している
記録に、特定の上司や会議、業務の名前が繰り返し出てくる場合です。原因がある程度絞り込めるため、その対象そのものへの対処を考えやすくなります。
2.「行くこと」より「その日の予定」に反応している
涙が出るのが、特定の予定がある日に偏っている場合です。仕事全般ではなく、特定の負荷が高い場面への反応である可能性があります。
3.慢性的な疲労が涙という形で出ている
特定の引き金が見当たらず、ほぼ毎日、理由がはっきりしないまま涙が出る場合です。この場合は、一時的な波なのか慢性的な疲労の蓄積なのかを見分ける必要があります。仕事のモヤモヤ、一時的な波?それとも慢性化のサイン?1週間の記録で見分ける方法も参考にしてください。
たとえば、経理職のFさんの場合。月初になると決まって家を出る前に涙が出ることに気づき、記録をつけてみたところ、涙が出る日はすべて月次締めの資料提出日と重なっていました。仕事全般がつらいわけではなく、特定の締切前後に強い負荷がかかっていたことが、記録を通じてはっきりしました。Fさんが次にとった行動は、上司に締め日前後の業務配分を見直してもらうことでした。原因が「月次締め」という具体的な引き金だと分かったことで、次に何を相談すればいいかが明確になったのです。
このように、涙が出る理由は「なんとなく仕事がつらいから」ではなく、記録してみて初めて具体的な形が見えてくることが多くあります。
涙が出るほどのつらさを一人で抱えない
「毎朝仕事に行きたくない」という感覚全般については「毎朝仕事に行きたくない」と感じる5つの原因|辞める前に確認したいこと、涙は出ないが体が動かないほどつらい朝については会社に行くのがつらい朝|無理に気合いを入れなくていい理由で扱っています。涙が出るほどの反応が続く場合、これらより一段強いサインとして受け止めた方がよい場合があります。
涙が出るほどの状態が2週間以上続く、食欲や睡眠にも影響が出ている、といった場合は、一人で抱え込まず、産業医や医療機関への相談も選択肢に入れてください。日曜の夜から涙が出るほど憂うつになる場合は、日曜の夜、仕事のことを考えると憂鬱になる理由も近い状態を扱っています。また、涙は出ないけれど何をしてもやる気が出ないと感じる場合は、仕事のやる気が出ないと感じたらも参考になります。
理由がまだ言葉になっていない場合は、「仕事に行きたくない」理由が分からない人へも、理由を言葉にしていくヒントになります。
今日からできること
- 今日から、記録用のメモをスマホか手帳に用意する
- 涙が出た・出そうになった日だけ、上記の4項目を書く
- 3日分たまったら、いったん見返してみる
- 同じ言葉やキーワードが2回以上出てきたら、それに丸をつけておく。1週間分たまったとき、丸のついた言葉を見比べるだけで、引き金の候補が絞り込みやすくなります
転職以外の選択肢
引き金が特定の業務や時間帯にある場合、転職以外の方法で軽くなることがあります。
- 上司に、負荷が高い業務の分担について相談する
- 有給休暇や時差出勤など、既存の制度を使えないか確認する
- 体調面の不安が強い場合、産業医や社内の相談窓口を利用する
転職するなら確認すること
記録の結果、今の職場の構造そのものが引き金になっていると分かった場合、「仕事に行きたくない」から「辞める」までの5つの転換点で、判断の進め方を確認できます。まだ転職するかどうか決めていなくても構いません。
よくある質問
涙が出るのは心が弱いからでしょうか。
弱さの問題ではありません。厚生労働省のストレスチェック項目にも含まれる、想定内のストレス反応です。まずは記録を通じて、何が引き金になっているかを確認することから始めてください。
出社すれば普通に働けるのに、行く前だけ涙が出るのは変ですか。
珍しいことではありません。実際の業務より、これから起きることへの予期に強く反応している状態と考えられます。記録を通じて、予期している内容が何かを具体的にしていくことが役立ちます。
この記事の要点
- 涙が出るほど悲しいと感じることは、厚労省のストレスチェック項目にも含まれる想定内の反応
- 「行く前はつらいのに、着けば普通に働ける」というギャップは、実際の業務より予期への反応であることが多い
- 1週間、涙が出た場面と直前に考えていたことを記録すると、引き金が見えてくる
- 引き金が特定できない、慢性的に涙が出る場合は、一時的な波か慢性化のサインかを見分ける必要がある
- 記録した内容をそのままLINEで送ってもらえれば、何が引き金になっているか一緒に整理できます